南米ボリビアで39歳の学校長が10歳の女子生徒を強姦する事件が起きました。加害者が所属する学校の教師と職員は、犯行は児童が挑発したものとして被害者本人と家族に対し非難と脅迫を行っています。
州検察によると加害者は強姦の容疑で起訴されており、詳しい調査は保留中。加害者は犯行前から数週間に渡り被害者に性的いやがらせをしていたことがわかっています。被害者は妊娠しているとのこと。
ボリビアはラテンアメリカ諸国で最も性暴力が多く、最も性犯罪の報告率が低く、最も思春期での妊娠が多い国のひとつです。
国際人権団体「Equality Now」によると、ボリビアで18歳になるまでに何らかの性暴力を受けたことがある女性は3人に1人。女性全体では70%が身体的な性暴力を受けたことがあると報告しています。
ボリビアでは強姦による妊娠、あるいは母体に生命の危険がある場合は法律によって中絶が認められています。しかし実際に中絶を行うことは極めて難しく、やむをえず出産することがほとんど。理由は、情報が一般市民に行き渡っていないこと、学校での性教育が十分に行われていないこと、中絶を好ましくないとする文化があることなど。
未成年に対する性暴力の多さについて、前述の団体は性犯罪を取り締まる法律の甘さを指摘しています。
現行の刑法では、性行為に同意があったか否かで犯罪を認めることはできません。したがって被害者は「脅迫、身体的または精神的暴力」があったことを証明する必要があります。精神的、時間的、金銭的な負担から、大部分の被害者が罪を訴えることを諦めます。
また、ボリビアでは裁判官の自由裁量で加害者に有利となる法律を適用することができます。この法律は「estupro」と呼ばれ、14歳から18歳の相手と「肉体関係を持った」場合に3年から6年の禁固刑を与えるもの。裁判官は被害者の供述を待たずにこの法律を自由に適用することができ、強姦の証拠がある場合でも有効となります。
性犯罪をめぐるボリビアの法制度はラテンアメリカ諸国からも批判を受けています。今年1月には、当時15歳の強姦被害者の扱いをめぐりボリビア政府の怠慢と人権侵害が米州人権裁判所によって認められています。