家庭や学校で体重をからかわれたことがある子供は、その後の容姿に関わらず成人後も自分の体重に否定的な感情を抱くことが最新の研究で分かった。
イギリスのブリストル大学が今週火曜日に発表した研究は以下のようなものである。対象はイングランドの同時出生群4060名。対象者が13歳であった1990年代を1度目の調査とし、その後複数に渡って調査を実施、対象者が31歳になるまでを観察した。目的は体重に対する羞恥心ないし劣等感(Internalised Weight Stigma, 以下IWF)と社会的因子、およびBMI値の関係を評価・分析することである。
IWFに関する研究はこれまでも行われており、報告から次のことが明らかになっている。
- 研究のほとんどで男性より女性の方がIWFの値が高い
- ドイツの研究では学歴あるいは収入の低い層で高いIWF値が見られる
- 米国の研究ではアフリカ系米国人よりも白人の方がIWFの値が高いことを指摘するものがあるが、米国以外の地域ではIMFと民族・人種の関連は明らかになっていない
- 男性間では異性愛者より同性愛者に高いIMF値が見られることが分かっているが、女性間では性的志向による違いはないとされている
- 思春期に家庭や学校で受けた体重を理由とする揶揄・いじめは長期にわたって食生活や健康に影響を与える
しかし、これらの研究報告の多くは大学生や自助グループといった小規模かつ非典型的な人口を対象にしたものであるため、内容はあくまで一部の層におけるものと考えた方が良いだろう。
ブリストル大学の研究は大きく二段階に分けて行われた。まず、対象者(13歳時)に以下の質問をした。
- どのくらいの頻度で母親または父親から体重について、あるいは食事の量について言及を受けるか
- 体重・体型について家族からどのくらいからかわれるか
- 体重・体型について学校でどのくらいからかわれるか
- 家族、友人、交際相手、メディアから減量のプレッシャーをどの程度感じるか
次に、同じ対象者(31歳時)に、以下のような項目についてどの程度同意するか回答を求めた。
- 太っている自分が嫌いだ
- 自分は太っているから他の人より魅力的ではない
これらの調査では、女性、性的マイノリティ(特に男性)、学歴または収入の低い人、体重を理由にいじめを経験した、あるいは家族やメディアから減量のプレッシャーを感じた人に高いIWF値が見られた。また、前述の研究で指摘されていたような民族・人種による差はあまりなかった。そして、IWS値の高低は対象者のBMI値と関係がなく、実際は健康体重ないし痩せ型の人でも、さまざまな要因から、自分の体重に劣等感や羞恥心を抱いていることが分かっている。
研究グループのひとり、Amanda Hughes博士は次のように話す。
「子供の頃に家族や仲間内、あるいはメディアから受けたプレッシャーはその後の自尊心、精神的健康に影響を与えることになる。親が子供の体重について話すときはよく気をつける必要がある。健康的な食事や運動をすすめるのはいいが、『痩せなくてはダメだ』というような言い方をしてはいけない」
なお、今回の研究の対象者はSNSが普及する以前に生まれた人口である。メディアによる影響は再度評価する必要があるだろう。