インドの性犯罪はなぜ起こる 集団暴行で男2人に禁固刑

インド北部ウッタル・プラデーシュ州で女性を集団強姦した罪で男2人が20年の禁固刑を言い渡されました。事件が起きたのは2013年。珍しい判決だといいます。

ことの発端は2013年8月に同州でイスラム教徒の男がヒンドゥー教徒の女性に行った性犯罪。男は刺殺され、その後すぐに殺害を実行した男2名も群衆により撲殺されました。

一連の事件は2週間に渡るヒンドゥー教徒とイスラム教徒間の大規模な暴動に発展。暴動によって60名以上が殺害、少なくとも7名の女性が強姦、6万人近くが離散をやむなくされました。被害者の大半はイスラム教徒だったと報道されています。

イスラム教徒とヒンドゥー教徒の対立は政治にも影響を与えています。2014年と2017年、ヒンドゥー至上主義を掲げるインド人民党(BJP)がウッタル・プラデーシュ州で圧倒的多数の議席を獲得し勝利。BJPは扇動的な発言によって市民の敵対感情を煽ったとして責任を問われていましたが、ウッタル・プラデーシュ州は後に訴えを棄却しています。

インドの犯罪において中核をなすのが、こうした市民間での性犯罪だと Al Jazeera 紙は報道しています。他者のコミュニティに属す女性が外国人嫌悪や右翼思想の標的にされるのはインドだけではなく世界的に見られる現象とも。

嫌悪する対象を侮辱し、傷つけ、非人間化する手段として最も簡単かつ効果的なのが女性に対する性暴力であり、これは力づくで他人の所有物を奪うという行為でもあります。宗教の違いだけではなく、言語、民族、社会的身分、考え方の違いなども差別の対象となり得るでしょう。

大規模な集団犯罪には国家の責任もあり、そのためこうした罪を裁くことは極めて難しいと専門家は指摘します。冒頭で述べた強姦被害者の女性は、判決が下された後も加害者の家族による報復を恐れていると語っています。

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