働く女性にとって、職場での身だしなみは悩みの種。化粧、ストッキング、パンプス… 見た目を重視して我慢を続けた結果、身体を痛める女性は数知れず。「女性は若く、魅力的に見えなければいけない」という意識、あなたも感じてはいませんか。
カナダのベテラン女性キャスター、Lisa LaFlamme は白髪を染めなかったことによって、35年間勤めたテレビ局から番組の降板を命じられました。LaFlamme は58歳。カナダで最も視聴率の高いニュース番組のキャスターで、複数の受賞歴もある、名実ともにカナダを代表するジャーナリストです。
テレビ局側は断定を避けていますが、局の責任者が LaFlamme の髪に対し難色を示していたこと、報道の仕方をめぐって本人と軋轢があったことを Globe and Mail 紙が伝えています。
著名な女性ジャーナリストの「クビ」に対し、政界や学術界からは「女性に対するエイジズムだ」という抗議の声があがっています。エイジズムとは、年齢による差別のこと。女性は老いを見せてはいけない、若々しく見えなければいけないという社会からの期待は、第一線で活躍する人物に対しても例外ではありません。
白髪が生えるのは年齢に関わらず、自然なこと。欧米ではコロナ禍で美容院に行けなくなったことを機に、白髪染めをしなくなった女性が増えたといいます。LaFlamme も、そのひとりでした。ありのままの自分でいる。その決断が招いたのが、35年のキャリアの終焉。
女性の外見に対する期待は厳しく、非現実的でもあります。女性は若く見えなければいけない。女性は魅力的に見えなければいけない。自然に逆らってでも、健康を害しても。こういった女らしさの呪いを解くには、男性と女性の両方が身近な疑問に気づいていく必要があると感じます。