世界の推し活女子 偏見とクリエイティビティ

Anna LysenkoによるPixabayからの画像

「推し活」をする女性が増えています。かく言う私も中年にして映画『RRR』にはまり、衣装を作ったり絵を描いたり等、まごうことなき推し活の真っ最中。

一般的に浸透してきた感のある「推し活」ですが、これは日本だけの現象ではありません。ポップカルチャーの先端をいく欧米では、古くはビートルズの時代から、10代の女子が中心になってアーティスト等の熱狂的なファンダムを形成してきました。かつての推し活女子が大人になり、自身の経験を綴った本を出版する人、社会学者になってファン文化の研究をする人などが現れたことで、近年になって推し活は新たな注目を集めています。

一昔前なら「オタク」と呼ばれた行為。熱狂的な女子たちに対する社会の目線は、日本でも欧米でも厳しいものでした。特にイギリスでは、ファンはヒステリックで過激というステレオタイプが流行し、その偏見の主な矛先となったのは繊細で感受性が強い10代の女子たちでした。ファン文化の専門家であるシェフィールド大学の Briony Hannell 博士は「ミュージシャンに心酔する女は危ないというイメージを社会が作った」と述べています。

一方、ファン活動を通じてクリエイティビティを発揮する女子が多いことについても同氏は指摘します。今でこそコンテンツの作成と発信が手軽に行えるようになりましたが、SNSやスマホが登場する以前から、推し活女子はファンアート、同人誌、動画、ウェブサイトなどを精力的に作って、自分の熱意を表現してきました。紙芝居のように画像が動くGIF。これは女子たちが  Tumblr でファンダムを示すために作ったのが始まりです。好きという感情を伝える意欲、そして思いを形にする創造力とエネルギーの強さは女性特有。今日のインターネットの潮流は、彼女たちが作ったと言えるかもしれません。

推し活は自分が自分でいられる場所。そこでは自分の特技を活かせて、想像を形にできて、同じものを好きな人がいて。誰かを好きであると同時に、自分を好きでいられる場所でもあると私は思います。

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