パキスタン 2時間にひとり児童が性犯罪に遭う国

パキスタンで児童が性犯罪に遭う頻度はおよそ2時間にひとりであることが、NGOの最新調査によって明らかになりました。

調査を行ったのはパキスタンの首都イスラマバードに拠点を置くNGO「Sahil」。児童を性犯罪から守ることを目的に、1996年から啓蒙・調査・保護などの活動を行っている団体です。調査のデータは同団体に報告された事案と報道機関からの情報を合算したもの。

今年1月から6月の間、パキスタン国内で報告された児童が被害者となる性犯罪は2,227件。被害にあった児童の性別は女児1,207人、男児1,020人。被害者の年齢は6歳から15歳が全体の約半数を占めています。なお、この年齢層では男児の数が女児を上回っており、女児457人に対し男児の被害者は593人にのぼっています。報告された事案の約4割が被害者の顔見知りによる犯行とのこと。

幼い子どもの誘拐、強姦、殺害はパキスタンの深刻な社会問題です。パンジャーブ州の都市カスールでは2015年に小児性愛者の集団が貧困層の児童280人を暴行、その様子を撮影した映像を販売する事件が起きました。同州では2018年にも当時7歳だった女児が暴行・殺害される事件が起きています。加害者の男は事件以前にも6人の女児に対し同様の行為をおこなっていましたが、警察は捜査していませんでした。本件によって男は逮捕、処刑されています。

こうした犯罪の対策としてパキスタン政府は2020年に新法を制定。行方不明の児童に関するヘルプラインを設立したほか、通報から2時間以内の対応と3ヶ月以内の操作完了を警察に義務化し、児童虐待の罪に対して死刑を適用しました。

今回発表された件数のうち75%はパンジャーブ州で報告されていることから、同州では政府の取り組みが効果を示しているといえます。一方で他地方での報告件数はきわめて少ないことにNGO関係者は懸念を示しています。

また、事件が表面化したとはいえ加害者が適切に裁かれるとは限りません。児童に対する性犯罪で有罪判決に結びつくのはわずか2%未満。経済的事情や世間体を優先して示談になることがほとんどだといいます。

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