こんにちは、まとんマサラです。今回のブログでは、現在公開中の映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の登場人物と俳優を紹介します。本作を初めて観た、これから観る、何回か観たけど登場人物の顔と名前が一致しない…という方の役に立てば幸いです。
★登場人物名は主に漢字で表記し、カタカナをカッコ内に記しました。俳優名は日本での表記に使われている英語名と、香港での繁体字名を併記し、繁体字の読みをアルファベットでカッコ内に記しました。
★人物の紹介内容は映画の『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』に基づくものであり、原作小説及びその漫画版とは異なる場合があります。
★出演作などの情報は一部であり、全てを網羅するものではありません。
主要な登場人物
龍捲風(ロンギュンフォン)

九龍城砦安全委員会の主幹で、理髪店店主。打たれた相手が回転しながら吹っ飛んでいく「旋風拳」の使い手。かつて一夜で複数の敵陣を一掃したことから龍捲風(竜巻)と呼ばれ(*1)、その呼び名が定着している。本名は張少祖。閉店後の理髪店で信一(ソンヤッ)と団子汁を食べるなど可愛い面も。長身、眼鏡、白髪。
演)ルイス・クー / 古天樂(Koo Tin Lok)1970年生まれ。モデルを経てテレビ番組で人気を博し、その後は映画を中心に活動。通算100作以上の映画に出演し、名実ともに香港を代表する明星(スター)。2000年から2003年にかけては歌手としてアルバムを4枚リリースしている。また、CMでも活躍しており、ゲランやブルックス・ブラザーズといった欧米企業や、アリナミンやサロンパスなど日本製品の広告にも出ている。俳優としての存在感と美しい佇まい、そして汎用性の高さは唯一無二。日本で見られる主な主演作は殺人王・陳占役のアーロン・クオックと共演した『柔道龍虎房』(2004)、スーツ姿の麗しいヤクザを演じた『エレクション2 〜死の報復』(2006)、ブラジャーをつけたり作ったりする『恋するブラジャー大作戦(仮)』(2001)など。
陳洛軍(チャン・ロッグワン)

ベトナムから香港に密航してきた男。金を稼いで身分証を買うために地下格闘技で拳を振るう。純粋で真面目な性格で、騙されやすい。安まることのない生活をしていた洛軍が、城砦に来て周囲の人々との関係を築き、居場所を見つけていく過程は本作の見どころのひとつ。龍捲風のことが大好き。
演)レイモンド・ラム / 林峯(Lam Fung)1979年生まれ。歌手で俳優。作中での野生的な外見と打って変わって「中の人」は色白で柔和な顔立ちをしているので、役柄とのギャップに驚く人が多い。歌手として香港と中国本土で絶大な人気を誇り、2010年から2013年にかけては4年連続で「アジア太平洋で最も人気がある男性歌手」にも選ばれている。俳優としては警察の潜入捜査官を演じたドラマ『使徒行者』シリーズが有名だが、日本では紹介されていない。日本で観ることができる出演作に、ラウ・チンワンらと共に出演したアクションスリラー映画『神探大戦』(2022年)がある。
信一(ソンヤッ)

幼い頃に父親から龍捲風へ託され、息子のように育てられた(*2)。龍捲風の右腕として城砦内の風紀を取り締まるほか、経理も行う働き者。揉め事を起こす者には容赦ないが、義に厚く、友情を大切にする。龍捲風のことが大好き。
演)テレンス・ラウ / 劉俊謙(Lau Chun-him)1988年生まれ。香港演芸学院卒業、その後、台北芸術大学舞踏研究所にて現代舞踏の修士課程を履修するが、3ヶ月で辞めて香港へ戻っている。「10代に混ざって踊るのは大変だった。私はダンスを覚えるのが遅かったし、当時は腰が悪く、怪我もして立っているのも辛かった。踊れるふりはするけど、本当は踊れない」とのこと(*3)。日本では台湾映画『鯨が消えた入り江』が配信サービスで見られるほか、王九役のフィリップ・ンと共演した『スタントマン 武替道』が今年7月に公開される予定。
十二少(サップイー)

暇さえあれば髪型を整えているおしゃれさん。廟街(テンプル・ストリート)を仕切る虎兄貴の右腕。黒社会に属しているが、作中では信一たちとふざけたりして普通の若者のように見える。洛軍、信一、四仔の中では最も若く(*4)、場を和ませるムードメーカー的存在。戦いの場では、黒社会らしく長ドスを武器に機転を効かせた働きをする。龍捲風のことが大好き。
演)トニー・ウー(胡子彤 / Wu Tsz Tung)1992年生まれ。元香港代表の野球選手。怪我により野球を辞め、紆余曲折の後にルイス・クーが率いる芸能事務所の所属俳優となる。『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の翌年に公開された映画『臨時決鬥』(2025)では、ルイス・クー扮するボクシングコーチの弟子として重要な役どころを演じている。また、同作品では主題歌「Pick me up」を歌っている。
四仔(セイジャイ)

筋肉がすごい仮面のお医者さん。身体は大きいが猫のように物静かな人。香港政府が移民の受け入れを緩和した期間に恋人と共に渡航してきたが、結果的に不法滞在者となる(*5)。黒社会によって自身と恋人が酷い目に遭ったので、やくざ者を憎んではいるが、龍捲風や信一たちのことは人として信頼しているようだ。診療所にAVがたくさんあるのは、黒社会によって日本の性産業に売り飛ばされた恋人を探しているため。
ジャーマン・チョン(張文傑 / Cheung Man Kit)1985年生まれ。詠春拳、テコンドー、ムエタイ、ボクシングなどに精通する武術の達人。ドラマや映画でスタントマンを経験した後、俳優に転向。作品のアクション指導も行う。ルイス・クーの事務所所属(*6)。「腹肌爆裂者」(肌は中文で「筋」のこと)と称される頑強な姿でありながら、素顔は動物好きの明るく優しいお兄さん。犬4匹、猫1匹、カエル、ヤモリを飼っている(*7)。パンツ一丁でいろんなトレーニングを教えてくれる Youtube チャンネルがある。
敵対する登場人物
大ボス
ガラの悪い手下を従えフルーツマーケットを仕切るボス。富と地位に貪欲で、目的のためには手段を選ばない。龍捲風を警戒し城砦へは手を出さないが、なんとかして乗っ取ろうとしている。漫画雑誌が好き。
演)サモハン(洪金宝 / Hung Kam-po)説明不要、アクション映画界の至宝!
王九(ウォンガウ)

黒い長髪にサングラス、野太い声で凄んだと思いきや甲高い声で笑い出す不気味な男。幼いころに家出して路上でボコられていたところを大ボスに助けられ、以来慕っている(*8)。
演)フィリップ・ン(伍允龍 / Ng Wan Lung)1977年生まれ。狂気と不気味を具現化したような王九とは正反対の爽やかな外見が衝撃的なアクション俳優。香港の九龍地区西部で幼少期を過ごし、7歳の時に家族と米国へ移住。大学でグラフィックデザインの学士と教育学の修士を取得したのちは詠春拳と蔡李佛拳の師範として中学校と大学で武術を指導し、小学校で美術教師としても働いていた。その後、サモハンやジャッキー・チェンといったスターに憧れて香港に戻り、俳優としての活動を始める。
色々あった人と昔の仲間
陳占(チャン・ジム)

かつて城塞を仕切っていた雷震東(ロイ・ジャンドン)の忠実な部下。細身の鎌で冷酷無比に人を殺す「殺人王」。過去は謎に包まれているが、雷震東と龍捲風との間で何かあったらしい。城砦での格闘の末、龍捲風によって殺された。口髭と外套がトレードマーク。
演)アーロン・クオック(郭富城 / Kwok Fu Shing)1965年生まれ。歌手で俳優。香港四代天王のひとり。香港ショービジネス界の第一人者。舞台王者、舞王、不老男神。90年代に歌手として絶大な人気を誇り、香港、中国、台湾、日本などで多くの観客を魅了した。その後も魅力衰えることなく、卓越したダンスと歌唱、鍛え上げられたルックスでエンタメの第一線を走り続けている。
秋兄貴(チャウ兄貴)

かつては龍捲風たちと共に戦った黒社会の一員だが、今は城塞の地主として裕福な生活を送っている。肩までの白髪を後ろに流し、いつも上質なお召し物を着ている紳士。
演)リッチー・レン(任賢齊 / Jen Hsien-chi)台湾出身の歌手で俳優。岸谷五朗ではない。中国文化大学体育科を卒業し、スポーツ関係の仕事をするつもりだったが、ギターの先生の紹介でレコード会社と契約し、歌手の道に進む。アングラバンド、空軍、動物番組の司会者などを経て、香港を代表する歌手としての確固たる地位を築いた(*10)。香港、中国本土、台湾、米国、カナダ、オーストラリアなどでツアーを行っており、日本では2006年に練馬文化センターで公演している。
虎兄貴(タイガー兄貴)

夜間市場が立ち並ぶ廟街(テンプル・ストリート)を仕切るボス。黒社会の人間だが、道義を重んじ、情を持ちつつも理性的な判断を下す。龍捲風、秋とはかつてともに戦った義兄弟。陳占との戦いで片目と喉を負傷し、ガサガサの声しか出ない。十二少を可愛がっている。
演)ケニー・ウォン(黃德斌 / Wong Tak Bun)1963年生まれ。建設作業員や運送業者、技師などを経験した後にアパレル業界へ。ジャン・ポール・ゴルチエの店舗販売員から店長に昇進し、長身(181cm)であったことからモデルになることを勧められる。モデル時代はヌードデッサンのモデルをしたこともあり、そのときのことについて「絵を描いていた人は全員男だったから恥ずかしくなかった」と話している。テレビ局が主催する「アジアスーパーモデルコンテスト」への参加をきっかけに芸能界へ進出。契約が終了し職を転々とする時期もあったが、様々な機会を経て現在はテレビドラマ、映画、舞台、吹き替えなど様々な方面で活躍している(*11)。
城砦で暮らす人々
阿七

妻と共に城砦で「阿七冰室」を営む叉焼飯屋さん。龍捲風の友達。スキンヘッドと鋭い包丁さばきが特徴。
演)喬靖夫 / Kiu Ching Fu 1969年生まれ。空手、咏春拳、フィリピン武術の使い手で小説家。代表作は16世紀中国を舞台にした武侠小説「武道狂之歌」シリーズ(全21巻)。
燕芬姐(インファンさん)
魚のすり身工場で働く女性。攻め込んでくるチンピラにも引かない肝の座った人物。工場で働く女児、魚蛋妹(ユーダンムイ)の面倒を見る心優しい面も。
フィッシュ・リウ(廖子妤 / Liew Chi Yu)
1990年生まれ。マレーシア出身のモデルで俳優。テレンス・ラウらと共に出演した『梅艷芳』(Anita)で第40回香港フィルムアワードの最優秀助演女優賞を受賞している。
魚蛋妹(ユーダンムイ)
すり身工場で働く子供。学校に行っておらず、すり身屋にいるか、母親が働く売春宿で時間を潰していることが多い。洛軍に優しく仕事を教えてくれる先輩。
王尹菁 子役。『臨時決鬥』(2025)にルイス・クー演じる主人公の娘役で出演している。
焼豚三兄弟
洛軍に叉焼の仕込みを教えるいかついおじさんたち。早口。
三姑(サング)
龍捲風の理髪店でパーマをかけるおばさん。
マリー
龍捲風とおはなしするために理髪店へ行っては困らせるおばあちゃん。
出典
*1、2 、5、8 香港版Blu-rayブックレットに記載。
*3 https://www.hk01.com/即時娛樂/797493/劉俊謙赴台拍戲稱-香港節奏快台灣一倍-1個原因暫無意移民台灣#google_vignette
*4 2025年2月23日に新宿バルト9で行われた来日舞台挨拶にてソイ・チェン監督が発言。
*6 https://www.orientalsunday.hk/最新娛聞/張文傑-簽古天樂做打星-302366/
*7 https://www.mpweekly.com/entertainment/article/【寵物專訪】爆肌暖男張文傑家有動物樂園
*9 諸々インタビューで発言。https://archive.org/details/2024-06-19_202406
*10 ラジオインタビューで発言したとしてWikipediaに記載されているが、アーカイブなし。
*11 https://site.douban.com/137457/widget/notes/6212542/note/214255291/