インド・コルカタで研修医殺害 性犯罪は医療機関でも

インド北東部、西ベンガル州の州都コルカタ(旧カルカッタ)で夜勤中の研修医が殺害された。事件を受け、インド全土では医療関係者による大規模な抗議運動が続いている。

被害者は31歳の女性研修医。コルカタにある RG Medical Hospital の緊急病棟内、セミナー室で亡くなっているのが発見された。遺体は下半身裸の状態で、身体に複数の外傷があったほか目、口、性器から出血があったという。女性は先週金曜日の夜勤中、仮眠をとっていたところを強姦目的で襲われたと見られている。

現場検証の後、警察は遺体発見の翌日に病院内にいた男を強姦・殺人事件の容疑者として逮捕した。当初警察は男の身元を明らかにしていなかったが、後の報道でコルカタ警察の民間ボランティアであることがわかっている。

男は2019年にコルカタ警察の災害管理部にボランティアとして参加、後に福祉部に移動した。報道によると、男は事件以前にも脅迫、ゆすり、女性に対する暴力など複数の事件を起こしており、少なくとも2回有罪判決を受けている。男は病院内の派出所に配属されており、病棟を自由に出入りすることができたという。

女性が所属していた医学部の事務局は、当初女性の両親に対し本件は自殺であると伝えていた。

「娘は殺された。私たちの、たったひとりの子供を彼らは殺した。娘は人を救うために医師になろうと懸命に働いていた。その結果がこれだ」(女性の母親)

なお、事件が起きた病院はインド政府が運営する、西ベンガル州で最も有名な医療機関のひとつである。病院が付属する医科大学もインド国内の医科大学ランキングトップ100に数えられる有名校だ。事件の発生後に大学長は辞任したが、数時間後にコルカタにある別の医科大学の学長に就任している。

病棟内で起きた研修医の強姦・殺人事件を受けて、研修医組合連盟(Federation of Resident Doctors Association)は12日にインド内務相に対し声明を発表、事件に関わる責任者全員の辞職、警察による暴力行為の自粛、事件の早期裁判、医療・福祉従事者の安全規約の制定、専門家による対策委員会の設置を求めた。そしてインド全国の医療機関に対し、これらの要求が叶えられない限り緊急時を除いて医療行為の提供を停止することを呼びかけた。

研修医組合連盟(Federation of Resident Doctors Association)公式Xアカウントより

インド経済の中心地・ムンバイがあるマハーラーシュートラ州では火曜日、8,000人以上の医師がストライキを行った。コルカタでは政府が運営するほぼ全ての病院で医療行為の提供が中断されている。医療従事者による抗議は事件が起きたコルカタと首都デリーを中心に、インド全土で続けられている。

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