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ことし4月初頭、イランの売店で女性二人組が見知らぬ男から頭にヨーグルトと見られる液体をかけられる映像がSNSで拡散されました。
場所はイラン北東部の都市マシュハド近郊の売店。被害に遭ったのは若い女性とその母親で、二人ともヒジャブを着用していませんでした。
防犯カメラに記録された映像には、店内に入った女性に背後から男が詰め寄り、突然白い液体を頭にかけたのち店主に追い出される様子が写っています。
母娘は公共の場でヒジャブを着用していなかったこと、男は公共良俗を乱したことで逮捕。男を追い出した売店の主はイラン当局から厳重注意を受けました。
1979年のイラン革命後に導入されたシャリア法により、イランでは公共の場での女性の服装が厳格に制限されています。シャリア法とはイスラム教の法制度に基づく法律で、女性の貞節として頭髪や肌を人前で露出しないことなどが含まれます。
昨年8月には通称ヒジャブ法が制定され、規制はオンラインの世界にも拡大。ヒジャブを着用していない写真をSNSに投稿した女性は半年から1年のあいだ社会的権利を剥奪されることになりました。
近年見られる女性に対する一方的な規制は、宗教の名を借りた弾圧に他なりません。女性たちは抵抗しています。ヒジャブ法が制定された翌月、ヒジャブを着用していなかった女性が警官の暴力により亡くなりました。抗議デモでは500名以上の参加者が殺害されました。
今回の事件に見られるように、国をあげての弾圧が一般市民にまで影響を与えていることは脅威といえます。しかし、それと同時に多くの人が現状に憤り、行動していることも明らか。人々の勇敢さこそが、抑圧者の恐れているものなのかもしれません。