結婚を望まない日本人が増え続けています。国立社会保障・人口問題研究所が9月に発表した調査結果によると、18歳から34歳までの未婚男女のうち「一生結婚するつもりはない」と答えた人口は男性が17.3%、女性が14.6%。調査が始まった1982年以降最大の数値を記録しています。
結婚意欲の低下は出生率の減少、ひいては人口の減少につながっています。厚生労働省は2021年時点で日本の総人口が64万4千人減ったことを発表。11年連続の人口減は海外でも大きな話題になりました。イーロン・マスクによる日本批判も記憶に新しいことでしょう。
出生率を増やさないと日本は滅びるという内容には、賛同の一方で「言い過ぎ」「日本だけを吊し上げている」といった反発も見られました。日本には移民政策の緩和と健全な労働環境の整備が必要だと、マスク氏は加えています。
さて、少子化は日本だけの問題でしょうか。世界銀行がまとめた資料によると、女性ひとりが生涯に生む子どもの数は、1960年頃から世界全体で減少し続けています。世界の出生率の平均は1960年が5.0、2020年が2.4(日本は1.3)。
先進国ほど子どもの数が少なくなる傾向にあり、日本や米国を含む先進国のほとんどで出生率が1.77を下回っています。日本と同じく晩婚・非婚化が進む香港では、2020年に出生率0.9を記録しています。
世帯収入別の出生率は高所得1.5、中低所得2.5、低所得4.5で、所得が高くなるほど子どもの数が減る傾向が見られます。
少子化は世界的な現象で、日本だけが特殊ではありません。しかし、公的支援の乏しさや労働環境の厳しさなどから、結婚自体を望まない日本人が増えていることは事実です。また、人口の自然発生に取って代わるべき移民を安価な労働力として扱う姿勢は見直されるべきでしょう。